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□ただその目で見つめられたらもう、(CD)
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「やぁ、ディーン」
外へ出てみるとキャスが植えこみに、まっすぐ俺を見たまま座っていた。その姿がまるで俺が出てくるのを待っていたかのようだったので、
「サムがいると言えない話か?いつもだったらずかずか部屋に入ってくるだろ」
当然浮かんだ疑問をぶつけると、相手は首を大きく横へ振った。
「任務″の帰りに君を見に来ただけだ。私は君の弟が少し苦手なんだよ」
まさか、こいつの口から「苦手」とかいう語彙を聞けるとは。
へぇ、と相槌を打ちながら、「苦手」と言いながらもやはり変わることのないキャスの顔を眺めていて、ふと思いついたことがあった。この鉄面皮がちょっとでも崩れる所が見てぇな、と魔が差したのだ。そして今日はエイプリルフールで、サムによって言おうとしていたジョークを封じられたのが数分前という状況も悪かったのかもしれない。とにかく、この時俺は思ってしまったのだ。
―天使、カスティエルに嘘をついてみよう、と。

「そうか、サムが苦手か。俺は……お前が嫌いだ」
ひねりも何もない、唐突に口から出た言葉はただ単に最初に思いついただけのジョークにすぎない。けれどストレートな言葉こそ、こいつに一番通用する。
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