SPN

□Devil inside(CD)
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「ま、待っ……!違う!こっち、こっちを……んぐ!」
こっち!と、ぶんぶか振られる右手に握られたチョコには目もくれず、天使は逃げるディーンの唇を追って再び合わせる。

「ちょっ……!?」
あまりの事に思考停止していた僕が我に返り、身を乗り出すと、最愛の人が天使とディープキス……という名の、口内のチョコ争奪戦を繰り広げているところだった。

街中の、人だってたくさん通る食料品店の駐車場での光景。
ディーンは何としてでも口に入れたチョコを天使に渡すものか、と舌で留めている。
「んーっ!んぅっ!」
後ろに仰け反ろうとするのを感じ取った天使はディーンの頭を抱え、更に深く攻める。
「ディーン、お願いだから離れて!口の中のチョコは吐き出してくれ!」
僕は涙目になりながら、心から叫んだ。僕があげたチョコだから、と思っての行動かもしれないが、この場合は喜ぶどころか怒りしか湧いてこない。焦ってぐいぐい、とディーン越しに天使の肩を押すが、こいつビクともしやしねぇ!
そのうちにディーンの抵抗が弱々しくなって、
「ん……ぅ……っ!」
くてり、としたディーンの口から、溶けたチョコの塊を奪い、やっと天使が解放した。
「ディーン!」
「……くそ……ぅ」
とろん、とした目と、頬を上気させて上体をよろめかせたディーンを後ろから支える。
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