SPN

□Devil inside(CD)
4ページ/6ページ

憎んでも憎みきれぬ、とオーラを放ちながら窓の外へと視線を転じれば、
「なんだ、キャスか。驚かすなよ」
「驚かさないように、とノックをしてみたが……なかなか難しい」
窓の外には薄汚れたトレンチコートのKY天使が立っていた。
「帰れ!!」
思わず叫んだ僕の心境を察する事もせず、鈍感天然兄貴は窓を全開まで下ろした。
「どうした、また任務か?」
「ついさっき、言い渡された仕事を終えたところだ。帰還する前に君の顔を見に来た」

用が無いなら、軽々しく来るな、寄るな、話しかけるな!!

歯ぎしりしながら睨みつけるも、天使の興味は目下ディーンの手元にのみ注がれている。
「それは何だ?」
右手に僕から奪ったチョコを1つ、左手に僕があげた箱を持っていたディーンは、
「ん、これはチョコだ。今日はバレンタインなんだ」
僕からのチョコを1つ口に入れ、転がしながら天使を見上げた。
「ああ……聖ウァレンティヌスの記念日か。この間アンナに聞いた」
「お前も食ってみるか?これ、やるよ」
ディーンが右手を持ち上げたのを見て、天使は少しだけ逡巡したあと、

「ありがとう。いただく」

そう言ってガッ、と窓の桟を掴み、捻るように身を乗り出し、
「!?」
ディーンの顔へ自分の顔を近づけ……た、と思った次の瞬間、
僕がディーンの頭越しに見たのはディーンの唇に自分のものを重ねる天使の姿だった。
むしゃぶりつくような感じで、それはぴったりと合わせられている。
ものすごい勢いで天使はディーンへとキスをしていた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ