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□午後三時の攻防戦
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「なんか面白い構図だな」四人掛けのテーブルで、俺の右隣にサム、目の前にキャスって。
「面白くもなんともないね」
俺ではなく、窓に向かって喋るサム。兄がイケメンすぎるから直視できないのか、弟よ。
「ご注文は?」
美人のブロンドウェイトレスが注文を取りに来てもキャスは無言で見つめ返している。ナンパする気……では無さそうなので、
「とりあえずメニューくれる?」
俺が助け舟を出し、キャスにメニューを見せてみる。「お前、何が食いたいの?」
「?……特に、何も」
ダイナーに来て何も食いたくないってのはどういう意味だ。
「君が見えたのでここに来ただけだ」
「ディーン。『奇遇』じゃなかったらしいぞ。ホシは白状した」
お前は何でさっきからそこにこだわってんだ?
「あー、じゃあアメリカンを1杯頼むよ。あ、あと何かオススメはある?」
「……バーガーを食べたのにまだ食べるのか。すごい」
「ディーン。さりげなく大分前から観てたらしいぞ。すごい『奇遇』だ」
とりあえず横のサムを蹴っ飛ばした。ウェイトレスの姉ちゃんは微妙な笑顔で、「オススメはイチゴパルフェよ。今がちょうど旬だから」
「じゃあ、それを1つ」
甘いものは大好きだが、居合わせる二人のツラは喜んでなかった。このメンツでそれを食べるのは俺だけだろうな……。
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