SPN

□ぬるいキスをしたね(SD)
7ページ/7ページ

テレビの中のザカライアと、テレビに向かって喋っていたディーンが一緒に振り返る。その両方を睨みつける僕に、ディーンは困惑の顔を向けた。
「おい、仲直りしただろ?」
僕が答える前に、テレビの中で別の声が混じった。

「ザカライア?誰と喋っているんだ」
「カ、カスティエル!いや、君とは関係ない!」
「……その向こうに見えるのは、ディーンでは……?」
「あっ、待ちなさい。違う、ディーンでは……こら!」
やにわに取っ組み合いを始めたテレビの中の天使二人を覗こうとしたディーンを押しのけ、

「こうなったら全面戦争だ……ディーンは僕のだからな!」

大きな声で叫んで手近にあった拳銃を掴み、振り上げてテレビの液晶を壊す。
その途端、外の大雨が止んで、大雨どころか台風って感じになってきた。
まるで空が怒っているような、暴れているような。
「これは挑戦を受けたって意味なのかな」
いいだろう、譲る気はさらさら無いぞ。

呆然としているディーンへ振りかえり、言い放つ。

「いいか、ディーン。僕を納得させるには、ぬるいキスじゃ駄目だ」

むすっ、と椅子へ座りこんだら、ディーンが頭を抱えて溜め息をついた。

あんな苺みたいな甘いキスより、噛みつくみたいなのじゃないと僕は許さないんだからな!
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ