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□ぬるいキスをしたね(SD)
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それを見下ろして仁王立ちした兄は、
「唇の上は愛情の証、なんだろ?これで文句ないか」顔を赤くしながらも胸を張って威張った。

「ディ、ディーン……!!」
じゃあ僕からも、と立ちあがる寸前、
「ったく、お前は昔から変わらねぇなぁ」
得意げに、照れを隠すような饒舌な口調。
「自分が気に入ってる玩具を取り上げられると怒りまくってさ〜、つまり、あれだろ?キャスが俺っていう玩具を取ろうとしてたのが気に食わなかったんだろ?安心しろよ、サミーボーイ。俺はいつまでもお前だけの兄ちゃんだから!」
そう言って、ぐしゃぐしゃと僕の髪を撫でた。

ぷつん、と頭の中で何かが切れる音と、
ぷちん、と部屋のテレビの電源が着いたのは同時だった。

テレビに映っているのは見覚えのある爺さん。
「やれやれ、どうにか繋がったかな?おい、見えているかね」
「あれっ、ザックじゃん。よぉ」
「……ザカライアだ、ディーン。こんな処から失礼。君がいる場所にどうしても降りれなくなっているのでね。天使避けの強力な結界を張っている理由はあえて聞かないでおくが……、
弟君を、なんとかしてくれないかな。カスティエルが数日前からどうしようもない状態でね」
「どうしようもない状態?」
「保護対象である、君と連絡も取れないし近づく事もできない、と半狂乱で……同じ部隊の天使達は皆さじを投げるし、しまいにはストをし始める始末でね。天使避けが効かない力を持つ大天使を出動させようとするのを、さっき必死で止めたところだ」
溜め息をつくその姿は、反抗期の息子を心配する父のようだ。
「マジかよ。ちょっと見てみたい光景だが……でも、大丈夫。今俺達も仲直りを……」

「してない」
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