SPN

□ぬるいキスをしたね(SD)
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「それでキャスに貰ったのを飲んだり食ったりすると大抵、満腹になったから、そのまま別れて帰る事が多かったんだな、最近」
「……なんか変な薬とか入れられてたりしたんじゃないの」
絶対、「これを飲食したら寄り路せずに帰る薬」とか盛られてる。
そう言うと、若干ムッとしたような声で天使の擁護。
「キャスはそんな奴じゃねぇ。俺が食ったり飲んだりしてるのを見てるのが好きなんだと」

それは、あんたを見てるのが好きだって意味なんじゃないのか……。
もう、つっこむ気力すら湧かなかった。

「いい事じゃないか?酒の量も減って変な病気移される心配もなく、健康的で」「よくない。女遊びならまだ許容できた」

いや、許容なんか、いつだってできていなかったけど。まぁ建前上は。
「だって彼女たちと兄貴の関係は一晩きりだ。だけど……だけど、あいつは」

あいつは、くっついてくるじゃないか。
兄貴の傍を離れないだろ。
それを言ってしまえば負けという気がして、悔しくて散らかったベッドの端へと力なく腰を下ろした。

「……サム」
黙ってうなだれた僕の前、目線を合わせるみたいにディーンは身体をかがめ、
「何だよ…………え」
顔が近づいたと思ったら、次の瞬間には唇と唇が合わさっていた。
ディーンの顔しか見えないくらいの超接近。
唇に触れる感触は、甘く、優しかった。

しかし、それを堪能する間もなく、コンマ一秒ももたずに唇は離される。

ただ触れるだけ。
それだけだったけど、僕は茹でられたように熱を上げ、ベッドからずり落ちた。
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