SPN

□ぬるいキスをしたね(SD)
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そう、数日前に少し気を緩ませたのが悪かったんだ……。
泡も落とさずにほぼ全裸で(ディーンには言ってないけど)街を駆け廻り、やっと見つけた公園でトレンチコートの男に抱きしめられてるディーンを発見した時の僕の気持ちはとても言葉では言い表せないもので……とにかくこれ以上無いほど不快になったのだ。
それから有無を言わさず(効かないって判ってるけど)天使に弾丸を撃ちこみ、ディーンを引っぱって部屋に戻り、天使避けの結界、魔方陣、護符を部屋中に貼りめぐらせ、更にディーンの首に天使避けの護符を入れた小ビンを強制装着させるまで五分足らず。

そのネックレスが気にいらないらしいディーンは、手でいじくりながら言い訳する。
「あれは単にキャスが知的好奇心を満たしたかっただけだ。本人もそう言ってた」
「いや、兄貴は分かってない」
「手近にいたのが、たまたま俺だけだったって話で……っていうか、俺に触りたかっただけだったらしいし、要は天使から人間へのスキンシップだろ」
「そこがおかしい。普通の天使は普通に思ってる人間をハグしたりしない」
「そうか?そんな事ねぇよ。唇の上のキスだって、『愛情を示す行為』とやらを試したかっただけ……」
「なんだって!?」
しまった、という顔で兄が菓子だらけの口を抑えたが、もう遅い。
「唇が……なんだって?……もう一回、言って」
「いや待て。今のは間違い」

僕だって聞き間違いにしたい。
「ディーン」
「サミー、お前の顔が今だかつて無いほど、おっかねぇ顔に見える……!!」
顔じゅうに血管がビキビキと浮かぶくらい力を込めて、
「一週間ちょっと前は首にキスをされてたようだけど、今さっき言ったのは何だって?」
ナイフをちらつかせながら言うと、ディーンは壁際まで下がりながら白状した。

「……口……唇に、キスだよ」
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