SPN
□Jelly fish and Angel(C/D)
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「おい、どっか行きたい所はないか?」
その唐突な問いかけにキャスは面食らってしまって反応が遅れた。ディーンは仁王立ちになり、キャスの答えを待っている。
「どういう意味だ?」
キャスが聞くと、彼は不機嫌そうに押し黙る。唇を尖らせ、
「別に何でもいいだろ。どこも行きたくないってのかよ」
「ああ、君の傍から離れたくない。いついかなる時でも」
「ギーッ!」
珍妙な声をあげたディーンは、両手をわなわなさせ、うろうろし始めた。
「一緒にどこか出かけよう、どこへ行きたい? って聞いてるんだよ、兄貴は」
見かねたのか、サムが呆れたように解説する。心底面白くなさそうにムスッとした顔で、キャスの肩に手を置いた。
「いい? 貸すのは今日だけだからね。明日になったら返してよね」
「何を貸してくれると言うんだ、サム」
「兄貴だよ」
「ディーンを?」
「勝手に人をレンタルするんじゃねえ。そいつは、いらねえってよ!」
「い、いる。とてもいる。ちょっと待ってほしい」
キャスは焦りながらも必死に考えた。どこか行きたい場所……出かける……ディーンを貸してくれるというサム……急稼働急回転する脳は、やがて一つの答えを導きだし、ポンと手を打つ。
「判ったぞ、溜まった洗濯物を洗いにコインランドリーへ行きたいんだな、ディーン? 了解だ、君のパンツは私がきちんと手もみ洗いを」
「俺ねるわ」
「残念! スーパーディーン君人形はボッシュートです!」
「謎かけかと思ったんだ待ってくれ! も、もう一度チャンスを!」
キャスは、自室へ戻ろうとする背を必死で引き止める羽目になった。