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□Castiel‘sReturnSongsxxx(サンプル)
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例え、月日が過ぎて君のくれたテープが音を出さなくなってしまっても、交わした想いはそこに在り続ける。


『あー、あー……これでちゃんと音が入っているのだろうか。録音ボタンは押せているはずだ。大丈夫だと信じてみるしかない。あとでサムにでも確かめてもらおう。では始めるとする。こほん。

やあ、ディーン。突然、こんなテープを渡されて君は戸惑ったと思う。こんなもんいらねえと言われていそうだが、君の事だ。何だかんだ言いつつも受け取って部屋で一人聞いてくれている事だろう。 

以前、私にくれたカセットテープのお返しをしたいと思ったんだ。昔、聞いた気がするんだが、どこかの国では「返歌」という文化があるという。誰かに歌を贈られた場合、それに自らも歌を返す事で返事とするのだそうだ。もしかしたら君はそれを望んでいるのだろうか、と考えたのだが、君が知っている可能性は低いと思う。

だが、私は君から貰ったお守りのようなこのテープにお返しをしたいと思った。君から私にくれたように、私から君へも。

しかし、私は君のように人の歌をあまり知らないんだ。知っているのはあの狭い車内に君が流す歌の欠片、そして時々、君の口端から零れ落ちる音だけだ。そういうわけなので、このテープに録音するのは私の言葉にしようと思う。

次に何を録音するかについてなんだが、君が数ある歌の中から、気に入った歌を込めてくれたように、私も選んでみたんだ。君について、私が特に気に入っている君の事について。君の好きなところを説明する。

言うなればこれは「カスティエルのディーンの好きなところリスト」だ。この時点で君がゴミ箱にこれを投げ入れる光景が思い浮かんだが、それでも何だかんだ言いつつ、いや、やめておこう。とにかく、君はきっと続きを聞いてくれているはずだ。

そう信じて言葉を吹き込み、これを私の返歌とする。

さて、何から話そうか……。』
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