SPN
□The Decline and Fall of the Human Being
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『ゆるやかに、しかし確かな形で人類は衰退した。
最早、進化も退化も無く、停滞。そのうちに一人もいなくなるだろう。
そんな人類の代わりに現れたのが妖精″だった。
言わば、地球の『新人類』と言ったところだろうか。
彼らは平均的な身長10センチ、ぎりぎり3頭身。知能はあり、楽しい事が好きである。
個体には多少の差(服装や外見)はあるものの、未だ詳細は不明。
私は、そんな妖精″と人間達の間を取り持つ天界直属の調停官だ。下界で言うならば公務員。もっとも彼らと人間の間に何か問題が生じたなどという事は無い。
彼らから人間の方へ寄ってくる事はまれであり、また人間の方も善き隣人として適度な距離を保って彼らを見守っている為だ。
つまりは調停官など形ばかりのものだ。
上司は祖父しか存在せず、同僚は祖父の助手を務める私の友人Bのみだ。たった3人で異種族間の大問題などにどう対応できるというのか。
さらに言うとこれと言った仕事も無い。
祖父は日がな世間話をするか散歩に出かけ、友人は里に下りて女性に声をかけるか、ひたすら惰眠を貪っている姿くらいしか私は見た事がない。
私はというと下界を眺めるか意味も無く資料をアルファベット順に並べたりするのが日課であった。
こんな内状だが、まぎれもなくここは天界の正当な機関なのである。
どうかしている。
飼い殺し…そういった言葉が自然と脳裏をよぎるばかり。
このままではいけない。
ひしひしと感じた。