Project&Request
□Sweet!
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バスルームは、甘ったるい空気で満ちていた。
…比喩じゃなく、マジで。
「製菓会社に踊らされやがって……」
「ディーンの為ならタンゴでもルンバでも踊るよ、僕は」
バスタブには並々と、チョコレート。
壁面にある鏡は、俺がその中で情けない顔して縮こまり、一緒に浸かってる弟に抱きしめられているという残念な現実を丸映ししていた。
「風呂一杯分のチョコ買うくらいなら、もっと有意義な金の使い道があったはずだ」
「なんだよ、折角僕が用意したのに。嬉しくないの?」
そりゃあ、浴槽いっぱいの金に浸かりたいかと聞かれたら俺だって喜んで頷くけど。
全身にまとわりつく、ぬるっとした感覚に身をすくめる。
「でもチョコ風呂はパスだって言ってるそばから、無理やり投げ込む事無いだろ」
「……お風呂より、僕の手で体じゅうにチョコを塗りたくられる方が良かった?」
「いやあチョコ風呂って最高だな!まったくサミーちゃんは素敵な事してくれるぜ!」