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□Looting notice〜曖昧な立ち位置〜(AD)
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「俺と一緒に映画とか観に行かないか」
口走ってから、やっちまった!と超後悔した。
別にいいムードでもなんでもなかったし、映画の話で盛り上がってたわけでもないのに、それは完全にその場のテンションによる突発的な思いつき。
言ってから何でそんな事言ってしまったんだ、と思う時は大抵、後の祭りなんだ。
ディーンは、俺に対する態度がサムに対するそれとはちょっと違う。
それはやっぱり、俺が自分の弟だって事に未だ慣れてないからだと思う。
俺だって実感なんかわかないさ。
だから時々、自分とディーンとの距離感を測りきれなくて早まった事を口走っちゃったりするんだよ。
「ん?わりぃ、よく聞こえなかった。なんつった、今」
「………つまり……俺は今、超好きな人とデートに行きたいんだ」
何言ってんの!?何を言ったの俺は!?
積極的なのはいい事だけど今言う段階じゃなかったはずだ!
ごめん今の無かった事にしてくれ!
「判った。じゃあ行くか」
「へ?」
「デートに行きたいんだろ?」
「えっ、いいのか!?」
ディーンは、頭を抱える俺を見ながら満面の笑みで答えてくれた。
「だから、その『超好きな人』とデートする予行練習に付き合って欲しいんだろ?」
判るぜ、俺もお前と同じくらいの時はブイブイと……とか言いながらご機嫌なディーンを前にしては、着地点が若干違う、だなんてつっこめるわけがない。