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愛が重い記念日

※兄貴誕生日記念。
いつも以上にキャラ崩壊&『天使に祝福を』前提ネタあり)


「お誕生日様、バンザーイ!」

用意したご馳走を前に、クラッカーの紙吹雪にまみれてディーンは目をパチクリさせながら僕を見た。

「……サンキュ」
もごもごと呟く姿がマジで可愛い。

「はい、プレゼント」
「いいのに、そんな。プレゼントって歳でも無ぇ…う、うわぁ……お前、これ……うわぁ……」

「実はけっこう前からこっそりと作ってたんだ。その手編みのセーター。去年、サイズ合わないのを着てただろ?あれも可愛かったけど、僕が褒めたらしまっちゃったから」
「待て!て、手編みだと!?」

今年の僕からのプレゼントはクリムゾンカラーのセーターだ。前面には『Sam Love』と刺繍入り。

「ちなみに僕のもありまして」
「あ、見せなくていいです」

「じゃん!僕のはディーンの瞳の色と同じヘイゼルグリーンなカラーなんだよ〜!もちろんホラ、前面には『Dean Love』と刺繍が」

「うっ、胸が痛くなってきた」
「ああ……そんなに感動したの?嬉しいよ、二人きりの時はお互いにこれ、着ようね☆」
「勘弁してくれ!」

「魔よけ効果も付いてる優れものなんだよ!」
「はぁ?」

「よくあるだろ。呪具に毛髪とか入れて追加効果出す感じの……」
「ああ、黒魔術……え!?その言い方だと、おい、まさかセーターに毛とか入れてんの!?」

「………………」
「………………」


「…『どこ』の毛かは教えられないけど」

「いっ、いやああああ!」

兄貴が喜びの雄叫びを上げてくれた時、いきなりキッチンの方から棚やら椅子やらを、なぎ倒しながらキャスが現れた。

つんのめりつつも振り返って、兄貴へ問う。

「……今日が、君の誕生日だと…?」
「へっ?ああ、うん、そうだけどいきなり来て何をぽかんとしてんだ」

「お前は呼んでないぞ!帰れ!!」
「い、いや良いトコに来た。この怪しげな雰囲気を打破してくれ、頼む!」

やれやれ、兄貴のツンデレっぷりには困ったものだ。慌てた様子でキャスのコートを掴んでいる。

「何故言ってくれなかったんだ、ディーン」
「誕生日の事か?聞かれなかったから」
「事前に知っていたなら、何か用意したものを…今からでも遅くない、せめて祝福の鐘を鳴らしに行こう」
「いや、いいって別に」
「よくない、私の時は祝ってくれた」

「待って。『私の時は』って何だよ、ディーン!」
「えーと、それはその……」

「そう言えばアンジェラスの鐘を鳴らして大分経つが受胎告知は来たのか?それも教えてもらっていない」
「お前まだ俺が身ごもったとか信じてたの!?」

「身ごもった!?どういう事だよ!」
「男にも育児休暇というものがある、とアンナが」

僕とキャスがつめよってくるのを見て、ディーンはとっさにクラッカーを引っ張った。

噴射口は僕らに向けられていたので当然、キャスと二人して紙吹雪だらけである。そんな僕らを交互に見て、ディーンは笑っていた。

「とにかく!今年もお前達と誕生日を迎えられた事が、俺は一番幸せだ!!よーし、ケーキ食おう!」

いろいろと言いたい事は(多分、お互いに)あったけどその言葉にどれだけ重みがあるか知っていたから、仕方なく僕達は声を揃えて言った。

「「Happy birthday.Dean」」


※その後、どんなカオス修羅場が繰り広げられたかはご想像にお任せです。
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