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□Fallen Angel〜風化風葬〜(CD)
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『欲』というものは、際限の無いものだ。

最初は彼の姿を見れるだけで良かったはずなのに、そのうち彼に私を知ってほしいと思った。

その欲望は次第に大きくなっていくばかりで、彼が私を知り、私もまた彼の知らざる部分を知っていくたび、堕ちてゆく自分に気づいた時にはもう止まる事などできなくなっていた。

夜気は未だ寒く、身を切るような冷たさの闇が広がっている。

「風邪をひくから、建物の中へ入るべきだ」

ボンネットによりかかる背へと声をかければ、その肩がすくむ。

「そんなにやわじゃねぇ。ほっとけ」

丸まっている肩ごしに彼を覗くと、古びた写真に目を落としていた。

色あせたそれは若き日のジョンとメアリーが映っていて、満面の笑みでこちらを見ているメアリーは彼に似ている。

「……いや、君が彼女に似ているのか」

「何?」

「君にはメアリーの面影があるな、と思ったんだ」

写真を指して言えば、そうか、と言ったきり彼の視線は再び写真へと落ちる。

「ディーン?」

今日はやけに物静かだ。前へ回ってみても彼が視線を上げる事は無い。

長いまつげが揺れていて、整った鼻は寒さで若干赤くなっている。

少しでも彼の風避けになれたらと、体の角度を調整し始めた時、彼はやっと口を開いた。
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