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□Trick 〜A bon chat bon rat〜
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びっくりした!びっくりした!!

大慌てでドアを閉めて逃げだしてから、熱い頬をごしごし拭う。

急に飛びかかってきて一体なんだったんだ、アイツ!
なんか目も怖かったし真剣な顔してたし。

「まさか本当に俺の血、飲みたいんじゃ……」
どうしよう、トマトジュースでもいいだろうか。

路地を見やれば、思い思いの扮装をしたティーンズが集まってワイワイとやっている。
頭にネジつけた奴とか、キュートな魔女やらはともかく、アイアンマンなんかもいたりして、思わず一緒に写真撮ってほしいくらいだ。最近は何でもありなんだな……。

じゃあ、コレもありなのか?と思いつつ、服を引っ張ってみる。
サムもかっこいいって言ってくれたし、思ってるよりも悪くなかったのか。

自販機を探しながらも、
思い出すのはさっきのサムだ。

良かった、アメ舐めてて!
ホントに良かった!

「いくら俺だって、いきなり献血数リットルとかはキツいからな……大体、アイツは「僕、吸血鬼!」とか言っといて、形も何もなってない。せめて外見なんとかしろよな」
ぶつぶつボヤきながら歩く。

「吸血鬼って言ったらさ、ながーい黒マントにだな、」
「やあ、ディーン」

そう、ちょうど今目の前に出てきたキャスみたいに黒マントを着るのが常識……って、
「おぅ!?」
「それは返答か、それともまた驚かせてしまったのか判断できかねるな」

突如として目前に現れた天使は、なんと驚いた事にトレンチコートを着てはいなかった。
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