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□Treat 〜langue de chat〜
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プロローグ

〜万聖節の宴・開幕準備〜


「……でさ、サムを楽しませたいんだよ。ボビー、何か良いアイディアとかねぇかな?」

俺の質問に、電話口から返ってきたのは呆れたような長いため息だけ。俺の周りはユーモアセンスが若干欠けてる奴ばかりだったな、そういえば。

「ちなみに今んとこ、ボビーの家に2人で行って菓子もらうってのが最有力候補。どっさり用意しといて」
「俺の意思は無視か?……ばかもんが」

何言ってんだ。ハロウィンってのは家におしかけて菓子せしめる行事じゃねぇか。
家側の意向なんざ知るか。

「俺はたまにお前がハンターだって事を忘れるぞ。ハロウィン、つまり万聖節ってのは1年で1番、悪霊どもが力を増す日だろうが。それを、お前は……」
「そうだ!ボビーは日本に詳しいんだよな。日本じゃハロウィンに何をやったりするんだ?」
「聴けよ、くそったれ。日本だぁ?そうだな…あの国は、ハロウィンに限らず魔よけに力を入れてるぞ。アメリカだとその日だけ、わざと化けもんの扮装をするが、あの国ではしょっちゅうやってると聞く」
「しょっちゅう!?」

「あぁ、カフェとかに入るとな、ウェイトレスがネコの耳をつけたメイドやミコの扮装をして出迎えるのだそうだ。そして呪文を唱える。『オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ』……と」
「なにそれ、どういう意味!?」

「おそらく彼女らには霊が見えているのだろう。なにせ、ミコというシャーマンがうじゃうじゃといる国だ。浮遊霊なんぞを祓ってくれる呪文なんじゃないか?その呪文を聞いた者は皆、心安らぐらしいし」
「えっ、ゲイシャとかじゃなくて?マジ話なの!?」

「春と夏と冬には各地から様々な扮装の『ハンター』が一カ所に集い、サバトをする、とも聞いた」
「さすが…ジャパニーズニンジャ…」

「ん…なんの話をしてたんだったか…まぁ、ともかく興味があるなら日本の知り合いに何か用意してもらってやろうか?今からならギリギリ間に合うが」

「おー、頼む!」


10/31当日
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