Project&Request

□Wings of Love(CD)
1ページ/8ページ

「彼にきちんと気持ちを伝えようと思う」

めずらしくアンナが私をバーに誘ったので、ちょうど良いから報告してみれば鼻で笑われた。

「それ、この間も聞いたセリフよ。『うまく言えなかった』とか『彼が言うには「気の迷い」らしい』とか言いながら早々にシッポ巻いて帰ってきたのは、どこのどちらさまだったかしら?そもそも本気で伝える気があるの?キャス」

情けなくも反論できずに私は目の前のアルコールの泡が浮かび上がるのを見つめた。

グラスを手で掴んで、

「ある。本気なんだ」

ぐいっとそのまま、1息で飲み干せば彼女は頬杖をついて笑った。

「そうね。本番に弱いのと相手がにぶちんなのが問題なのよ。本気なら私だって貴方の事を全力で応援するわ。そのためには、」

メニューを叩いて彼女は頼もしく叫ぶ。

「お酒の力を借りるのが1番!そうすればきっとうまくいくわ。ウェイター!アルコールのメニュー、あっちからこっちまで全部持ってきなさいな!!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ