Project&Request
□Wings of Love(CD)
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「彼にきちんと気持ちを伝えようと思う」
めずらしくアンナが私をバーに誘ったので、ちょうど良いから報告してみれば鼻で笑われた。
「それ、この間も聞いたセリフよ。『うまく言えなかった』とか『彼が言うには「気の迷い」らしい』とか言いながら早々にシッポ巻いて帰ってきたのは、どこのどちらさまだったかしら?そもそも本気で伝える気があるの?キャス」
情けなくも反論できずに私は目の前のアルコールの泡が浮かび上がるのを見つめた。
グラスを手で掴んで、
「ある。本気なんだ」
ぐいっとそのまま、1息で飲み干せば彼女は頬杖をついて笑った。
「そうね。本番に弱いのと相手がにぶちんなのが問題なのよ。本気なら私だって貴方の事を全力で応援するわ。そのためには、」
メニューを叩いて彼女は頼もしく叫ぶ。
「お酒の力を借りるのが1番!そうすればきっとうまくいくわ。ウェイター!アルコールのメニュー、あっちからこっちまで全部持ってきなさいな!!」