SPN
□兄について本気出して考えてみた結果がこれだよ(S→D)
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「それで結局、何が言いたいんだ、え?」
ボビー・シンガーはサムに向かって、呆れた声を上げた。
近くに来たから寄ってみた、と兄弟がふらりと家を訪れたので折角だから今日は泊まってゆけと言ったのはボビーだ。彼にとって兄弟は息子同然だし、互いの近況報告だけではなく、もう少し彼らの顔を見ていたかっただけなのだ。だがこうも面倒な事になるとは思ってもいなかった。
夜も更けてきた頃、兄がシャワーを浴びに行ったのを見てサムが「悩みを聞いてほしい」とボビーへ話をもちかけてきた。頼られるのはやぶさかではない、と若干嬉しくなりながら真摯に承諾してしまった数分前の自分の迂闊さを、ボビーは後悔していた。
「何が言いたいって、らから、わかるらろ、ぼびー」「俺がお前に出してやった酒が、そんなに強い酒だったとはわからなかったさ」
口の中で毒づいても、愚痴のように続くサムの「悩み」には何の効果も無かったのだった。
手持無沙汰に焼いてしまったパンケーキの枚数が20枚を超えたあたりで、ボビーは時間の浪費に気づき(また、小麦粉と卵の浪費に気づき)、早々に「悩み」とやらを切り上げなければいけないと判断してサムの声を遮りながら話を進める。