SPN

□始末におえない、その何気ない一言
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知らないうちにアダルトサイトを勝手に見られるのを防ぐ為、ラップトップのセキュリティを強化する知識を仕入れようと本屋で立ち読みしているうちに、ふと時計を見ると立ち寄ってから数時間が経過していた事に気づいたサムはあわてて本を閉じた。
「……やば……」
今頃モーテルでむくれているに違いないディーンを想像すると、自然と足が早くなる。
「ごめん、ディーン!遅くなっ……」
しかしドアを開けた時、サムの目の前に広がった光景は予想もできないほど、不思議な光景だった。
「おう、おかえり」
「…………」
ただいま、が口に出ないほど、驚いた。ディーンがテレビの前に陣取って、アメフトを見ている。
そこまではいつもとたいして変わらないのだが、
「……何コレ、ど、どういうこと?」
ディーンが腰掛けているのがソファーではなく、トレンチコートの男の足の間、という衝撃は大きかった。くたびれたトレンチコートの男−カスティエルは、いつもと変わらぬ無表情だが両足の間にちょこん、と座ったディーンを腕で挟むようにしながらキャラメルポップコーンのバケツを両手に持ってソファーにもたれている。挟まれているディーンは、カスティエルの持つポップコーンをつまみつつ、観戦に興じている、という不可思議な光景。傍にある机の上には酒の空き瓶が数本立っているので、もしかしたら兄は酔っていて、あまりに微動だにしないから天使をソファーと間違えているのでは、とも思ったのだが、それでもサムは納得できなかった。
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