SPN

□ただその目で見つめられたらもう、(CD)
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「ねぇ、ディーン。もしもこの先一度だって「これからは一人旅をする」とか「大学に戻れ」とか、僕に言ったら僕は問答無用で兄貴を拘束する為の手錠を買って来る。今日が四月一日であってもなくても」

朝、がばっとベッドから起き上がって口を開こうとした俺に向かってのサムの第一声がこれ。四月一日を楽しみに、昨日一日かけて色々考えた嘘を言い当てられ、尚且つ封じられて、思いっきり不満をこめて睨んでやっても憎たらしい顔でサムはラップトップをいじっていた。
「お前って、ほんっと……つまんねえやつ。手錠って何だよ、センスねぇな」
「センス無くて良いんだよ。だってジョークじゃないんだから」
「…………」
「あ、むしろ良い口実になるな……。ディーン、嘘ついてよ」
そんな、真顔+据わった目で怖い事をさらっと言わないでほしい。
ジョーク……だよな?
ジョークだと言ってくれ、頼むから!
何となく、ぎらぎらした目で見てくる弟からとりあえず目を逸らした時、モーテルの窓の外を見知ったトレンチコートが横切ったように見えた。すかさず立ちあがって、
「俺、ちょっと散歩行って来る!」
逃げた俺の背に、ちぇっ、という舌打ちが飛んだ。
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