SPN

□Devil inside(CD)
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今日もいつもどおり、狩りをこなして安モーテルへと戻る日常を辿る。
インパラの助手席からふと街を見れば、食料品店から戻ってくる兄の姿があって、持っている紙袋の中にいくつかのスナックがあるのが見えてしまったので溜め息がこぼれる。
「あんまり、スナックばっか食べるなよ」
「帰ってきてすぐ説教はやめてくれよ、ママ」
運転席に乗り込むなり、僕に咎められたのでちょっと不機嫌そうな軽口が返ってきた。
「身体に悪いって言ってるんだ」
「なんだか今日はやけにつっかかってくるな。何だってんだ」
首を傾げながらの色っぽいアヒル口を浮かべられては、心情を隠し続ける気力も失せてしまう。
「今日は狩りが休みだったら良かったのになって思ってただけだよ。はい、これ」
朝からずっと渡すタイミングを図りながらその余裕も無く、今までずっと持ち歩いていた箱をディーンへと放る。
「?……なんだ、これ」
「今日が何の日か知ってる?」
「ん?誕生日じゃねぇし……」
ぱこっと開けた箱の中身を見て更に首を傾げる姿に呆れてしまった。
狩りに専念するあまり、月日の感覚を麻痺させてしまう癖は治してほしい。
「チョコだ。俺にくれんのか?」
「……今月が何月か、まさかここまで言って判らないって事は、無いよね?」
「2月だけど、それとこれに何の関係があるんだ?」
心底わからない、と形の良い眉が歪むのを見て、
僕は窓ガラスへ、したたかに頭をぶつけてしまった。ゴィンと小気味よい音がした。
「今日は2月14日で、バレンタインデーだよ、ディーン!」
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