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□午後三時の攻防戦
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「テレビ壊すなんて……とんだ出費をさせられたもんだ。反抗期なんだな、サミー」
「どうせ偽造キャッシュで払ったんだからいいだろ。勝手に言ってなよ、馬鹿兄貴」
ぷい、と横を向く弟は人生で何度反抗期になれば気がすむんだろう、と思いつつも久しぶりの外出に気分は晴れ晴れだった。何故かは知らないがこいつはカスティエルが好きではないらしい。数日前にテレビを通してコンタクトを図ろうとしたキャスに喧嘩を売った事で気持ちに折り合いがついたようで、俺を軟禁するのを止めてくれたのだった。
「折り合いなんかつけてない。いつまでもあそこで籠城戦するわけにもいかないってだけ」
俺の思ってる事まで分かるようになっちまった弟が文句を言うが気にしない。
とにかく、また狩りを続けられるし外の空気を吸えるしダサい天使避けからもオサラバ(説得するのに大分かかったが)できたし、めでたしめでたしだ。
そんなわけで俺達は台風がやっと過ぎ去った午後のけだるい昼下がりに、街のダイナーで遅い昼食をとっていた……っていうか時間的にはおやつだな、これは。
注文したバーガーはぺろっと食っちまったし、デザートでも……、とメニューを握ると、かろん、とドアベルが鳴る音がして見覚えのある姿が入ってきた。
「おっ、キャスじゃん!お〜い!」
「……来たな、クソ天使」
おい、サム。何でおもむろに拳銃を取り出すんだ。
「ディーン。奇遇だ」
くたびれたトレンチコートが、俺達の席までトコトコ歩いて来て呟いた。
「そうだな、こんなトコで会うなんて」
「兄貴の中で『奇遇』ってのは何回起きるものなんだよ!?」
ヒステリックに叫ぶサムは……ホントに反抗期なのかもしれない。キャスはお得意の無表情で首を傾げた。「座っても?」
「別にいいよ」
「だめだ、帰れ!!」
なんなんだよ、
お前はもう。
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