SPN

□疎ましい彼の声(CD)
1ページ/7ページ

公園のベンチに腰かけ、
もう何度目か判らない溜め息を吐いた。天気はいいのに人はあまりいなくて、リラックスしかけた時。

「やぁ、ディーン」

目の前にトレンチコートの男が急に現れて挨拶したので、俺はさっきより深い溜め息をこれみよがしに吐いてみる。
見なかった事にしよう。
聞こえなかった事にしよう。そう決めて反応しないでいると、しばらく立ったままだった男はベンチをノックした。
トントン、トントン。
俺の横のスペースへ、
トントン、トントン。
俺の顔を見上げながら、
トントン、トントン。
延々とベンチへ拳を降ろしてノック。

「――っ!あぁ、もうっ!それは一体、なんのマネだよ!?」
はい、俺の負け。

「アンナに『ノック』の意味を教わってきた」
「その褒めてほしそうな顔はなんだ?ノックはドアにやるもんだ」
「そうか。分かった」
そう言いながら俺の許可も得ずに隣へ座るな、帰れ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ