お題企画

□疑う
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40.疑う
(ナツ→グレ)





最近、少しだけ……。



















アイツが妙な気がする。















「「(俺)ナツとグレイ」」

どこからともなく誰かがそう言ったとする。そしたらどうだろう。一斉に町の住民は慌てて逃げ惑う。

当たり前だ。

それは、"問題児の喧嘩が始まる合図"だから。















顔を見るだけで、声を聞くだけで、目を合わせるだけで・・・・。



喧嘩の始まりだ。


力付くで殴りあうことだって貶しあう言葉だって、なんだって言い合える相手だって、そんときは気がつかなかった。

















ただ、大嫌いな奴だとしか思わなかった。

















なのに、何でだろ・・。


今は"恋人"になっちまってる。俺はグレイが好きで、アイツも俺が好きで……。






町中の住民は慌て驚いて、ほとんどの奴等が腰を抜かすほどだった。














『何があっても・・疑わない。』








二人で決めた約束事。





なのに俺は疑っちまってる。



約束を、守れないでいる。







悪いのはアイツなんだって自分に言い聞かせるように・・・・。
















グレイが浮気をした。もちろん、浮気をする奴だとは思ってはいない。思いたくもない。裏切るような相手じゃないって分かってんのに・・なのに信じられない。



見たんだ。アイツが俺の知らない奴と楽しそうに笑いあってんの。











-一週間前-


「なぁ、今日暇か?」
「悪ィ。今日は用事があんだよ。」


"用事"だってよくあることだ。暇ばかりの俺達じゃない。だけど・・・、最近いつも、毎日と言ってもいいくらい俺の誘いを断り続けていた。





この時だったんだよな。俺が秘密でこっそり後をつけたのは。










順調に誰とも話さず店に入るグレイ見て、ほっと一息つこうとした時・・・・見ちまったんだ。



それはそれは可愛らしい少女と一緒に店から出てきたところを・・・。



一瞬一時分からなかった。


「グレイ…。」



ーーーーーーーーーー

だから俺は今日、アイツと話し合おうって決めた。



「・・・大事な話があんだ。」
「あっあぁ。」


>いつも以上に畏まった俺に驚いたんだろう。戸惑いがちのはっきりしない返事を返してきた。


「率直に聞くけどよぉ。」

「俺のこと、好きか?」


唖然として口をぽかんと開けたグレイを俺は真剣に見た。もしかしたら、もう二度と見れなくなってしまう気がしたから。

「な、何いってんだよ。」
「はっきりしねぇのは嫌なんだ。」
「…?」
「見たんだよ、お前が俺の知らねぇ奴と一緒にいんのを!」
「あ、あれは・・・!」
「別れてぇなら別れたいって言えよ!じゃねーと辛くて仕方ねぇ!?」
「聞けよ!!」


怒鳴りじみた声だがどこか涙声が混じっている。

「・・・別れたいなんて思ってねぇ。ナツが別れたいならこれは別の話だ。」


「それに、ナツが見たのは、あれは…ただの…。」
「なんだよ・・・・。」
「店を……だなぁ。」
「???」
「案内してもらってて・・//」
「…はぁ?」


なんで店を案内されて、そんな話で顔を赤らめんだよ。


「・・・・これ。」
「…箱?」


手渡されたのは小さな箱。俺は箱からグレイへと目線を移す。

「恋人になって、もうすぐ1ヶ月だろ。だから…。」
「………グレイ。」


まさかグレイにされるなんて思わなかった。プレゼントを渡してくれるなんてもっての他。


「じゃあなんで隣にあんな女を連れてたんだよ?」
「…ああ。あれは店の店員さ。宝石が売ってる店が分かんなくてよ、案内してもらったんだ。」
「…じゃあこれは。」
「そう。指輪だよ。」
「グレイ!」



俺は抱き締めて抱き締めてそして唇を重ねた。












「つーか、俺が浮気だって?俺を信じられなかったのか?」
「悪ィ・・・・。」
「嘘だよ。俺のこといつも見ててくれてんだって分かったしな。」
「!…ばか野郎。」


ああ。やっぱり好きだなぁ。


だからもう、疑わないよ。だってお前がそのことを十分に教えてくれたから。










Special Thanks!:)野うさぎ様

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