お題企画

□握りしめる
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53.握りしめる
(ナツグレ)





暗い中、俺は走っていた


向こうに光が見えるのに、一向に近づく気配が無い




手を伸ばしても空(くう)を切るばかり



俺は今どこにいる?

どこに向かって走っている?

そんな自問自答を繰り返す




、孤独、、そんな世界に俺は一人ぼっち

耳を済ませばあの忌々しい日の出来事が聞こえる



『お前じゃ無理だ、グレイ』



『俺はデリオラを倒すんだ!!』



『もう…止めてくれーっっ!!』



『お前の闇は私が封じよう…』




『俺のウルを越えるって夢はどうなる!?』




『お前が……お前がウルを殺したんだ!!!』




『貴様がその名を口にする資格は無い』







嫌だ、、



嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


見たく無い…見たく無いっっ…!!






誰か…助けて…





あの光に手を伸ばしてもまたきっと空を切るだけ…



俺はまた逃げようとしてるんだ…





あの日のことから









『死ぬことが決着かよ、逃げてんじゃねぇよ』



「!?」


ふと、誰かに手を握られた


『おい、』





「大丈夫か!?グレイ」



「あ…な…、つ…?」



俺の家…?






「お前呼んでも目覚まさねぇんだもん」

「…」

「グレイ?」



「…手…」



ナツの手、暖かくて、すげぇ安心する…



「あ?あぁ…お前が手ぇ伸ばしながらなんか呟いてっから」



「…そっか…ん、サンキュー」



ナツに目をやると、目を見開いてなんか唖然としていた



「…?なんだよ」


「あのグレイが…素直に礼を…」


「なっ!?テメッ俺は…!」


「握ってた方が良いか?」


「は??…なっ…!!」



なんだよ突然


ってのは声にならなかった


ナツが手を強く握ってきたから



「良いか?」



「……うん…」


「おう」



ただ側にいて、ナツの…体温を感じるだけで俺は一人じゃないって実感できるから…






ありがとな、ナツ、あの時…身体張って…助けてくれて…



俺もナツの手を強く握りしめた










Special Thanks!:)いーだたろう様

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