雨音ギタリズム

□LITTLE BY LITTLE
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夕ちゃんの息が整うのを待って、重い足取りで塾への道を歩き出す。これから夕方までずっと授業で、今日は小テストもある。

とりあえず考えただけでも死ぬんじゃないかと思うので、ここでやめておこう。
中3の夏。

中2の頃の成績が壊滅的で、さらに受験生だからという理由で行きたくなかった塾に今年の4月から通うことになった。

私と夕ちゃんが通う塾は結構大きな塾で、色んな中学校から色んな人がやってくる。同じ学校の人もいるから、夏休みに入る前は学校ごとにクラスが分けられていたのだけど、なんと夏休みからは他校の生徒もごちゃごちゃで授業を受けることになるらしい。

ということはつまり男子とも一緒になるということで。
女子中通いで男子という生き物が、少し苦手な私にとっては、それが最大の憂鬱だ。

「そういや、他校の生徒って、どんな人がいるんだろうね。もしかして、琴乃が苦手なあいつらと同じ授業だったりしてね」

二ヤ、と笑った夕ちゃんの言葉にぎょっとした。私にとっては笑いごとではない。

この夏がマシなものになるかの運命がかかっているのだ。
 
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