飛竜月天
□知らない方が良いこともある
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「いってきます」
次男の続はいつものようにバイトに出掛けた。
そして、それを2階の窓から見届けた年少組は、ベッドに座り込んで何やら話し込んでいる
「続兄貴行ったな」
「行ったね」
最初に口を開いたほうが三男の終で、その言葉に同意したのが四男の余
「毎回思うんだけど、続兄貴どこにバイト行ってるんだろ」
夕方に家を出て、帰ってくるのは夜中、下手をすると朝方で。前にそれとなく聞いてみたら、接客業と返ってきた
「これ…」
はい。っと余が小さな箱のようなものを差し出す
「どしたのコレ?」
余が差し出したのは所謂ホスト系クラブのマッチだった
「内緒にしてね。続兄さんの部屋を掃除して、見つけたの」
……可愛い顔してあの子割とやるも―――いやいや
マッチ箱を裏返すとクラブの簡単な地図と住所が載っていた
「「……………」」
「なぁ…」
「たぶん僕も終兄さんと同じ事を考えてるよ」
二人の目の色が不敵に輝く
「行くか」
「行こう」
そう言う事になった
「この辺の筈なんだけどなぁ〜」
自宅から続のバイト先までかなりの距離があったのにも関わらず、恐るべき身体能力をもった二人組は建物の屋根をピョンピョンと跳び走り、普通の交通手段を使っても1時間強かかるところを30分足らずで着いた
そして今、それなりに高いビルの非常階段の手摺りに二人は座ってる
高い所に居るのは、けっして馬鹿だからでは無く、下を見渡せるのと、いざと言うときにすぐに逃げ出せるようにだ
「おっ見つけた」
ビルの斜め向かいに目的のクラブを見つけた。当たり前だが、ここからでは中の様子が見えない
「さて、どうする?」
「んーもう少ししたら、続兄さんが出てくる。……気がする」
「じゃあ待とう」
終は余の言葉を何の疑いもせずに信じた。日々の生活で余の感がよく当るのを知っているから
それに、近づくより、待つほうがリスクが少ないと思うから
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