疾走少年
□雪もよに
1ページ/4ページ
「うわ」
昼食の後、少し眠ろうと横になっていて気がついたら外は真っ暗だった。
少しどころかかなり眠っていたらしい
横ではまだ物の怪が寝息をたてている
「あれ?」
静かだ
さっき――正確に言うと昼頃だが――はゴウゴウと風が唸っていたのに、今は嘘みたいに静か
不思議に思い外に出てみると
庭の木々
地面
視界に入るものすべてが雪で真っ白に染まっていた
「最近寒かったもんなぁ」
ちらほらと雪が降ることはあっても積もる事はなかった
それなのに今は階の2段目を隠すぐらいまで積もっている
「・・・・・・」
昌浩の瞳が輝いた。例えるなら新しい玩具を与えられた子供の目のよう
昌浩は部屋まで戻ると、寝ている物の怪を掴み取りまた外に出てきた
そして...
「もっくん行ってこい!!」
まだ眠りから覚めない物の怪を雪の積もる庭へとぶん投げた
「べふっ!?」
ボフッと粉雪を舞い上がらせながら勢いよく物の怪が雪の中に食い込む
ほーもっくんの毛並み真っ白だから雪に埋まったらどこに居るのか分かんないや
昌浩はそんな事を思いながら自身も雪の庭へと足を踏み入れた
まだ新しい雪はサラサラとしている
→