輪廻の火

□帰還
11ページ/15ページ

サラマンダーは、ザナックに忠実だった。


  わかったヨ。ごメンね…


もう一度謝罪を言葉にすると、座り込んだシルヴィスの隣から消えてしまった。

「あ、おい…っ」
「大丈夫。儀式は終わったよ」

慌てるシルヴィスの心を読んだのだろう。
サラマンダーへの呼びかけを遮るように、ザナックが言った。

「終わったって…」
「右手首の内側、見てごらん」

今のの何が儀式に相当するのかわからなかった。
シルヴィスはサラマンダーを受け入れ、勝手に動かれただけだ。

だが言われた通りに見てみると、揺らめく炎を纏うサラマンダーが痣となって描かれていた。

「これは…」
「それがサラマンダーの愛の証。あの子の行動の全てを受け入れた君への、感謝と忠誠の証だよ」

ザナックが説明する。
痣に意識を向けると、体の内側から炎が沸き起こる感覚があった。

「これが…儀式の成果」

「うん。君はより強い炎の力を手に入れた。火は君の自由だよ」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ