贈り物

□マ王代行閣下の一日
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 その言葉に続き、左右の手に持つ二着の違いについて講釈をたれる。

 右手の方が光沢が良いだの、左手の方がわざわざ取り寄せた高級な糸を使ってるだの、魔王陛下本人の興味なさそうな特徴を得意気に語る姿は滑稽にすら思えてくる。

「それで、意見というのは?」

 放っておけばいつ迄でも語っていそうなギュンターに、目的を思い出させる。さすがに、いつまでもいられても迷惑だ、とは言えない。

「今度陛下達がいらした時、晩餐会を催そうと思うのです。その時の陛下のお召し物に、どちらの方がより相応しいと思いますか?」

 真面目な顔で聞くギュンターに、どちらでも、とは言ってはいけない気がしたグウェンダルは、小さな溜め息と共に答えを出した。

「肌触りが柔らかい方にしておいてはどうだ?」
「なるほど! ありがとうございます、グウェンダル。これで次の準備に取り掛かれます!」

 一段と深くなった眉間の皺や溜め息には気付かず、ギュンターは礼と共に去って行った。


 大きく息を吐き引きだしに手を伸ばしたところで、再びノックの音がした。
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