贈り物
□これからもマ王
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結局、ヴォルフラムにどつかれただけで、ムラケンの言う準備がなんなのかも、みんながなんとなく忙しそうな理由もわからなかった。
「なんかなー、絶対みんななんか隠してない?」
「隠してないよ。さ、入って入って」
そう言ってコンラッドが示したのは、玉座の間の扉。あれ? 執務室とかじゃないんだ?
「良いから入れ。へなちょこが」
扉の前で止まっていたら、不機嫌に急かされた。ひょっとしてヴォルフラムの奴、まだ怒ってる?
「わーった、開ける、開ける。開ーけーまーすーよー」
そんなに思いっきり睨まなくたっていいじゃんか…と呟きながら扉を開けた。
パァン!
扉を開けた俺を迎えてくれたのは、何かが弾ける音達と前が見えない程大量の紙吹雪。何?! 何が起きたの?!
「誕生日おめでとうございます、陛下」
「日付を合わせるのは無理でしたが、猊下が、自分が渡らせるからやってはどうか、とおっしゃって下さいまして」
コンラッドとギュンターが説明をくれた。紙吹雪が治まって見えた玉座の上辺りには横断幕まである。
村田がそんな事を…。
「魔王を頑張ってるキミに、ほんの少しお礼をと思ってね」
「ムラケン、お前…」
良い奴だなぁ。こんちくしょう。
村田の首に腕を回して、思い切り引き寄せた。
「いたた。痛い痛いって渋谷」
「驚かせたお返しだ!」
俺と村田がじゃれ合ってると、咳払いがした。振り向けばギュンターが俺達を見ていた。
「それと実はもう一つ」
ギュンターが言うと垂れ幕がもう一つ出て来た。なぜか日本語が書かれている。
「お帰りなさい猊下…?」
「え?!」
俺が読み上げると、村田が驚いて顔を上げた。二人、取っ組み合いの格好のまま玉座の上を見上げる。
「長い時を経てお二人が揃われたのですから、祝わせて下さい」
「ギュンター…」
「フォンクライスト卿…」
ギュンターにいつもの微笑みで言われ、その後ろで会食の準備がされているのを見て、俺と村田は声を揃えた。
『ありがとう』
2007/12/24 fin
遅くなった上に、季節も何もかも無視したグダグダな物になってしまいました(^^;
喜んでもらえたら幸いです。
あゆむ姉様、666番おめでとうございます。そしてリクエストありがとうございました!