奇跡の軌跡

□出会い
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 紗耶が行き始めたのは夏休みの近付く頃。サークルではちょうどバーベキューの計画が持ち上がっていた。
 皆で集まって何かをする事に憧れもあった紗耶は、部長は行かれないというバーベキューに参加した。
 ほとんどの人の顔と名前が一致しない中での参加。
 それでも、打ち解けるきっかけにもなるイベントに、胸躍らせていた。
「あの、時間と場所、合ってますよね?」
 当日、集合場所で部長に確認の電話をする程、集まった人達の顔がわからなかったが、行き帰りの電車やバーベキューの最中に話す事で、随分と慣れる事が出来た。
 気になる人が、更に気になった。


 その頃ちょうど、紗耶はクラスの男子と数度デートをしていた。
 その男子とも仲の良い、ある女子に対する対抗意識から、紗耶がお願いしたのだ。
「あのさ…、もうやめにさせてくれないかな…」
 その男子が紗耶にそう言ってきたのは、紗耶の心がサークルの事に傾いた後だった。
「うん、いいよ。私も他に気になる事が出来たし。…ありがとね」
 即答した紗耶の心に、一人の事が浮かぶ。
(夏木さん…。会いたいな。サークルでまた会えるよね)
 まだ出会ったばかり。知ってる事などほとんどない。
 にも関わらず、親友との話の中でこう言った。
「好きな人が出来た」
 純粋な想いから来る言葉だった。
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