輪廻の火
□試練
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「え…っ?」
突然の満面の笑みにシルヴィスが驚いていると、いきなり二人の周りを炎が囲んだ。
ザナックの方を見るが、一切表情を変えずに宣言するかのように言った。
「炎の陣」
言葉に応じるように二人を囲んだ炎は、動くのに不自由しない程度の空間を二人に与え、だが通る事を拒んだ。
「これ…は…」
「この炎の中で、炎の全てを体感してみて。君はきっと、それでわかるから」
そう言うザナックの変わらない笑顔が、急に恐ろしく感じられた。
だがもう、後には退けない事はわかっていた。
「漏らさず見て。そして感じて」
少し真顔になったザナックの手で、炎が剣の形になった。
「行くよ!」
初めて、ザナックが語気を強めた。
気迫に飲まれたほんの一瞬に、無数の火の矢が目の前に迫った。
「うわっ」
咄嗟に腰に提げた剣を抜き打ち落とすが、到底全ては落とせない。