輪廻の火
□始動
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―ねぇ、貴方このまま死ぬ? それとも…
こちらの世界に来た時にヴェミールに聞かれた事。
(死にたくなかった。皆の為に戦う事にならなくても…)
与えられた部屋で簡易ベッドに腰掛け、シルヴィスはじっと己の手を見ていた。
(火は俺に従う、か…)
エルフィの言葉だけなら、信じる事は難しかったかもしれない。
だが、実際にイメージ通りに炎が動くのを体感した。
信じない訳にはいかなかった。
―生きたい…。
辛うじてそう言って意識をなくしたシルヴィスを、ヴェミールはここへ連れて来て治療した。
そして目覚めた後、こう言った。
―手を貸さない? 治療代金の代わりに。或いは…魔法を教える代わりでも良いわ。