奇跡の軌跡

□出会い
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 全ての始まりはそう、先輩のあの一言。更に辿れば、あの高校を選び、あの部活を選んだ事……。


「紗耶ちゃんさ、TRPGって知ってる?」
 そう話しかけてきたのは、文芸部の部長だった。
「あ、知ってます! やってみたいと思ってたんですよ〜」
 三年生がいなくなり、少し寂しくなった部室で、二人は話をした。
「実は私、TRPGサークルやってるんだ。良かったら紗耶ちゃん来ない?」
「行ってみたいです!」
 二つ返事で参加を決めた紗耶に、部長は繰り返し参加をしている人達の事を説明し始めた。
 名前や誰と誰が仲が良く、誰と誰が付き合ってるのか、誰が誰の事を好きなのか等、黒板を使い図解にして教えてくれた。
「大体こんな感じかなぁ。まぁ、最初の内は私フォローするし」
 気楽に楽しんで。そう言った。


 それでも、人見知りがちな紗耶は当日、とても緊張していた。
 強がりな為、周りからはそう見えなかっただろうが、ゲームの内容も覚えていない程の緊張だった。
 翌日は学校だったが、休み時間になるとサークルでの出来事を思い返していた。
(社長さん、荒谷さん、中田さん、…梅…宮さん? だったっけ?)
 話した人を出来るだけ思い出す。その中に一人、気になる人がいた。
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