バラスーシ!

□オッス!その名もオレ大江戸武蔵
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「あ〜、もう基礎練飽きた…」


手にはクソボロボロな『ニッカン』のホルンを持ち呟くオレ、
その名も大江戸武蔵。

名前は自称刀匠であったというウチのじいさんのイチオシだったそうだ。

マンガの主人公の様な名前でみんなすぐに覚えてくれる。

小さい頃は恥ずかしかったもんだが、今では愛着が出てきた。

5才から剣道を習わされ、中学まで続けて主将までいったのだが、

中学三年の時好きだった女子に防具をつけたまま告ろうとしたら、

『なんか臭う』と言われたのがショックでオレは剣の道を捨てた。

その女子は吹奏楽部に入っていた。
オレはその女子が諦めきれず、
吹奏楽部に入って繋がりを作ろうと決意した。

……違う学校になっちゃったけど、きっとまた会えるよね、室井さん!



「オイ、何サボってんだよ、ムサシ。基礎練見てやろうか?」


「あっ、す、すみません!ちょっと今頭痛が痛くて!!
あっ、あっれ〜、石井先輩、たしかパートリーダー会議まだ終わってないっスよね??」


いきなりの石井先輩のご帰還!今のオレには思い出に浸る時間はない。


「部長が泣きやがってよ。収集つかないから会議中断。」


椅子の背もたれに手をかけ、どっしりと腰掛ける先輩。


「頭痛が痛いっておかしくね?
相変わらず日本語不自由ね、お前」


ブォッという音と共に異臭が漂う。先輩、また屁こきやがって。
こんなに臭いなんていつも何喰ってんだ。

「部長が『みんな、全然やる気がないです!』とか言いやがるから、
『まず部長のお前がもっとオーボエ練習して上手くなって、手本見せれば』
っつったら大泣き。
ありゃ、下手なの自覚してたんだな。
いつも廊下で堂々とチャルメラ吹いてやがるから、下手なの分かってないのかと思ってたのに。」


『そういえば石井先輩、副部長でしたよね…
副部長って部長助けるもんじゃないんですか。』


という心の声と裏腹に


「さすが石井先輩、やっぱ言うことレベル高ぇっスね!」


と答える後輩のオレ。
吹奏楽部に入って半年、
上下関係を体でしっかりと叩きこまれたれたので、
社会に出ても上司と上手くやっていける自信がある。


「俺がレベル高いのはいつもの事だろ。それより、もう1人の一年どこだよ?」
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