≪とある世界の真空領域≫

□第八章
1ページ/10ページ






「ハッ……ハッ………」





暗い闇の中を少年は走っていた。





有り得ない。





少年の頭にはその言葉しか浮かばなかった。





どれだけ走っても、





脳裏を過ぎる人間が消えない。











無我夢中で走る少年が路地を曲がろうとした瞬間────










その人間は舞い降りてきた。










「ヒッ!?」



少年は喉の奥を引き攣らせたような悲鳴を上げる。





わからない。





何故目の前にこんな人間がいるのか、





そもそも、目の前の生物は人間なのかもわからない。





その生物がこちらに視線を向ける。





少年は声を発することどころか、瞬きをすることさえできなかった。





瞬きをすれば、その瞬間に首と胴体が離れ離れになってもおかしくない。





そう少年が思うのも無理はなかった。





だって、目の前にいる生物は、





(学園都市…最強の……)











白濁し白熱し白狂したような純白の《レベル5》なのだから。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ