≪とある世界の真空領域≫
□第七章
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『風紀委員活動第一七七支部』で友人──初春飾利が深いため息を吐くのを見て、白井黒子は首を傾げた。
「初春、どうかしたんですの?」
「いえ、たいしたことじゃないんですけど…」
尋ねられ、初春は少し目を伏せた。
「最近、学生が襲われる事件が何件か報告されたじゃないですか」
それを聞いて白井は、ええ と短く答える。
初春が言っているのは、別名『レベル0襲撃事件』。
その名の通り《レベル0》の学生が何者かに襲われた、というもので、昨日で三件目が起こった。
「何か新しい情報でも?」
「…一応、被害者は全員何らかの能力でやられてるので、その能力がどんな能力なのかっていう情報が入ってきたんですけど……」
「けど…、何ですの?」
「一つ目の事件は、雷。二つ目は熱。そして、三つ目が空気なんです」
確か… と白井は被害者がどうやって襲われたかを思い出す。
(最初は軽度の感電、次は持っていたペットボトルが爆発…そして、窒息)
最後の窒息はあと少しで、脳に障害が残るところだったと聞いている。
それにしても、何故それに引っ掛かっているかわからないといった顔で、白井は初春を見つめた。
「聞き覚えないですか?」
初春に聞かれるが、まだピンとこない白井は、さあ…? と首を傾げた。
そんな白井に、
「この間話した都市伝説の『トリプルスキル』の特徴と一致してるんです!」
と、初春は力を込めて言った。
どーですか? と聞きたそうな初春に、白井は、
「ありえませんわ」
一言で切り捨てた。
「偶然、複数いるであろう犯人の能力が重なっただけですわよ」
「そうですかねー」
初春は少し残念そうに言ったが、
「明日にでも佐天さんに詳しく聞いてみます」
諦めていないのか、そう言った。
そこで白井はあることに気がついた。
「そういえば、最近佐天さんの姿を見てませんけど、どうかしたんですの?」
初春は少し考えて、
「…どうかしたってわけじゃないと思うんですけど……佐天さん、最近なんか考え込んでるみたいで………」
私のスカートをめくることもなくなりましたし… と続ける。
それを聞いて、
「あなた、そういうのに目覚めたんですの?」
「ちっ、違いますよ!ただそれくらい佐天さんの元気がないことを──」
「はいはい。無駄口はいいですから、次の事件が起きそうなポイントを調べなさい」
白井の言葉に、初春はすねたような表情でパソコンに向かった。