≪とある世界の真空領域≫
□第五章
1ページ/12ページ
その少女と出会ったのは、篠坂が小学六年生の時だった────
とあるコンビニに篠坂が入ると、店内には高校生くらいの少年が数人いた。
(《スキルアウト》…か)
見るからに、安っぽい不良。
ソイツ等は(気の弱そうな)店員を牽制しなから、目の前で堂々と万引きしていた。
それを見て、篠坂は顔をしかめた。
(めんどくさいな…)
見れば周りの人間は、みんな見て見ぬふりをしている。
篠坂と同じように、面倒ゴトに関わりたくない そんな顔をしていた。
やがて、《スキルアウト》達が満足してコンビニを出る、そんな時だった──
「ダ、ダメなんだよ…」
弱々しい声が、やけに鮮明に聞こえた。