獄ハル
□Distance
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―Distance―
up2008.12.25
「あのさ…獄寺くん、山本。
報告があるんだけど…。」
ある日の放課後。
10代目が恥ずかしそうに、
オレたちに話しかけた。
その様子を見れば、どんな用件かすぐにわかる。
3月4日、笹川の15歳の誕生日。
2人は晴れて恋人同志となった。
「おめでとーございまっす!!
10代目!!」
10代目の晴舞台に、右腕のオレが喜ばないわけがない。
「やっとかよ〜、よかったなぁ!」
あははと山本が笑うと、10代目は少し照れたように笑った。
ただ1つ気掛かりなことが…。
「あの10代目、…ハルはこのコト知ってるんですか?」
「えっ?」
「こんな喜ばしい時にすみません!ただハルは、やっぱり10代目の口から真実をありのまま伝えてほしいと思うんですよ!!
だから―――。」
「ちょっ、ちょっと待って!
獄寺くん!!
ハルはたぶん大丈夫だょ!!」
オレの話を止めた、10代目の一言の意味がよくわからず、キョトンとした顔をしてしまった。
「大丈夫っていうか…、
関係ないっていうか…、
だって何かオレ振られた?っぽいし!」
ははっ、と渇いた笑い声を10代目はあげた。
「えっ?えっ!?
どういうコトですか!?」
ふられた?振られてるって、どういうコトだ!?
「実は、1ヶ月くらい前にハルと会って―――…
『ツナさん!!』
『ハル?どうしたの!?』
すっごい真剣な顔で、何事かと思ったら。
『ハルは、ツナさんのお嫁さんになるコト、辞退させて頂きます。』
『はぁ!?』
『女の心って、ほっとかれたら変わるもんなんですよ。
秋の空なんですっ!』
『これからはNEWハルになるんで!今までみたいに、もう構ってあげませんから!!』
『はぁぁ――――!!!??』
…って言われたんだよね〜。」
「はぁぁ!!?」
何だ、何だその会話…ってより一方的な物言いは!?
何言ってやがる、あのアホ女!?
「はははっ!そりゃツナ確かに振られてるわ!!」
腹を抱えて笑う山本を見て、そうだよねーと10代目も笑った。
オレは1人なぜか笑うコトができず、呆れるコトもできずに、
怒りにも似た気持ちがわなわなとわきあがってきた。
「すみません10代目!!
あのアホ女には、オレが言って聞かせますからっ!!」
「えっ!ちょっと獄寺くんっ!
なにを―――…」
10代目の制止する声を聞かず、
オレは走りだした。