TRESURE
□サヨナラの時
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その日、空は雲ひとつない透き通るような青空で、陽の光はどこまでも柔らかで。私はそんな空を見上げながら、大切なあなたを待っていた。
「待たせたな。」
しばらくすると、背後からそう声がした。振り向けば、漆黒の瞳が私を見ていた。
「あら、私にまで気配を隠すなんて悪趣味ね。」
「職業柄、癖でな。」
あなたはそう言うと、被っていた帽子を更に深く被った。そして、あなたは言葉を続ける。
「アリアは元気か?」
「えぇ、元気よ。」
そう相槌を打てば、あなたの口角がわずかに上がる。それを見て私は微笑み、"会いたかった?"と問うとあなたは静かに首を横に振った。
「いや…。元気なら、オレはそれでいい。」
「そう…。」
それだけ言うと、次に話す言葉が見つからず、私は黙り込んでしまった。あなたも私が話すのを待つかのように何も話さない。
二人の間に続くのは、沈黙の時。
本当は話したい事がたくさんあったはずだった。だけど、いざあなたを前にすると何も話せなくなる。
だって、話したらきっとあなたは悲しい顔をする。私はあなたのそんな顔は見たくはないの。
だから、
「呼び出しておいて、申し訳ないけれど、本当は別に用事ないのよ。」
きっとあなたには見え透いた嘘。それでもあなたはそんな私に深く追及する事なく、ただ"そうか"と一言呟いた。
「ただ、あなたの顔が見たかっただけなのよ。」
「なんだ?その理由は。」
「理由?そのままよ。」
そう言って笑うとあなたもまたつられて笑った。あなたのその顔は今日一番いい顔で私は更に笑顔になる。
しばらくそのまま二人笑った後、あなたは言う。
「用がないなら、オレは行くぞ。オレは最強のヒットマンだから忙しいんだ。」
「えぇ、わかったわ。わざわざ呼び出してしまって申し訳なかったわ。」
「いや、オレもちょうどお前の顔が見たかったんだ。」
"だからお互い様だ"そう言ってあなたは私に背を向けて歩きだした。私はそんな背中をただ黙って見送った。
もちろん笑顔で見送っていたけれどあなたの後姿が遠ざかり小さくなると、今まではっきり見えていた姿が涙でぼやけた。
結局、最後まで言わなかった。言えなかった。
あなたに会うのは今日が最期になるって。
でも、あなたの悲しむ顔を見るくらいなら、これでよかったと思ってるの。それに、最後にあなたの笑顔も見れた。
もう何も悔いはないわ。
サヨナラの時
(あなたは私の分まで)
(どうか未来を生き抜いて)
*10万打のフリリクにて『リボルチェの最後の時のお話を!!』と、お願いしました!!
そしたらこんな素晴らしい作品を(//∀//)
すごくリボルチェらしい最後で、涙が出ました。
あいみ様!本当に本当にありがとうございました!!
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