日常ぼかろシリーズ

□sakura saku ?
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        up 2010.4.17



「あははは!そりゃ災難な、お花見だったね!」


リンとレンでマスターと、レコーディングの後にお話し会。
こないだのお花見の事をレンが言ったら、マスターは大笑いした。


「笑い事じゃないよ!!
大変だったんだからなー。」


レンは思い出すとまた気持ち悪さが再来しそうと、言ってウンザリした顔をする。

レンがこないだのお花見の後、リンに言ったのは2つ。

酒は飲むな。
酒を飲んでるメイコ姉には近付くな、だった。


「あーゴメンゴメン。
リンちゃんも大変だったね。」


マスターが笑いを堪えながらリンを見る。
リンはちょっと頬を膨らめた。


「リン覚えてないもん!!」


そう。こないだのお花見の事は、なーんにも覚えてない!!

目を覚ましたらお家で、体を起こした瞬間に頭がガンガン痛くって。

みんなそんな感じだったけど…


「レンばっか、色々覚えててズルイ!!」

「はぁ!?お前…」

「だってぇ!!せっかくお花見行ったのにぃ!!」


そうだよ!!いっぱい美味しいモノ食べたかもしれないし、いっぱい遊んだかもしれないし!!

レンと楽しく遊んだかも、全然覚えてないもん!!

それに桜を見に行ったのに、桜の事も全然覚えてないし…

桜もう散り始めちゃったし!!


とりあえず何か悔しくなって、まくし立てるだけまくしたてる。

マスターは呆気に取られて目を見開いて、レンはしかめっ面をする。


「あっ、そう言えば!」


我に返ってマスターは、人差し指を立てる。


「家の裏の丘にある桜が、咲くのが他より遅くてちょうど満開の頃だよ!」


マスターがそう言うと、レンがひとつため息を吐いてリンを見る。


「明日お花見行く?」


その言葉に、リンの気持ちは急に高ぶって自然と笑顔になった。


「行く!!」


そんなリンを見て、マスターとレンがホッとした表情をしたけど、リンの気持ちは明日の事でいっぱいだった。





ウキウキし過ぎて朝早く目が覚める。
晴れてるかなーなんて思いながら、カーテンを開けてリンは目を丸くした。

時間なんて気にもせず隣の部屋へ駆け出す。
ノックもしないで入ると、レンの名前を呼ぶ。


「レン!!起きて!!外見てぇ!!」


何だよなんて言いたげなレンを放っておいて、リンはカーテンを開く。


「…なんだこれ…」


さすがのレンもその光景に、顔を歪ませる。

だって目の前に広がるのは、真っ白な雪景色。

春真っ盛りの頃の、まさかの大雪!!

雪は好きだけど、何で今日なの!!

「なんでー…せっかくお花見行こうと思ってたのに!」


あまりに予測不可能な事態にリンは、叫ばんばかりに声を上げた。


「いや、オレもその予定だったけど…さすがに無理…」


レンが最後まで言わなくても続きが分かる。
急に悲しくなってきて、視界がボヤケ始める。

リンお花見運ないんだ〜…

リンの目から涙が零れ落ちる前に、レンがベッドから立ち上がる。


「よし!行こうリン!!」

「えっ?」


レンの言葉にリンは目をパチパチ瞬きする。


「花が咲いてれば花見だろ!!
たぶんまだ散っちゃいないって!」


なっ!って言ってニカッて笑いながら、レンが手を差し出す。


リンは目をゴシゴシ擦る。


「うん!!」


笑って答えると、レンの手を取った。




外はまだ雪が降っていて、積もった雪は歩きにくい。

寒いから付けろってくれたマフラーも暖かい。

レンが手を引いてくれたから、大変とかより嬉しくって顔がニヤケちゃう。



「晴れてる時に来たかったな…」


なんてボソッとレンが弱音を吐いた。
けど、ずっと手を引いてくれた。

丘の上までやっと着いた。

目の前に広がる景色に、2人で立ち止まった。


「うわぁ!!」


それは何ていえばいいのかな?
幻想的な風景!?

木に色付いた淡い紅色の花の上に、白い雪が積もって。

茶色の木の下に積もる雪に、積もる紅色の花弁。

見た事ない景色。
春であって春じゃなくて、冬であって冬じゃない!!


「すっごいね!!レン!!」


そう言って見ると、レンも桜から目を外してリンを見る。


「これ普通のお花見よりもっと凄い!!
雪見も一緒に出来るなんて、今日が雪が降ったおかげだよ!!」


本当に嬉しくって、満面に笑って言う。
レンはそんなリンを見て、ちょっと目を見開いた後に、眉を下げて笑った。


「リンってすげぇポジティブ!」


レンが笑うと、もっともっと嬉しくなる。


リンがネガティブな時には、レンがポジティブにしてくれる。

レンがネガティブになったら、リンがポジティブにしてあげる!!


どんな時もこの手を引き合って、ずっと進んでこう!

そしたらいつも2人は幸せなんだから!

舞い散る雪の花弁が、2人を包んでくれる。

ハートの形の雪の結晶。
ふわふわ2人に舞い落ちる。

ちょっと寒いねって、2人で一緒のマフラー巻いて。
ギュッてくっついちゃう。

うん!これって最高のお花見だね!



〜fin〜

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