Twins Butterfly

□scene*D -Rin-
1ページ/3ページ



        up 2010.7.5


窓から射し込む陽射しが、私とルキくんを照らす。


熱くキツく抱き締められて、長く長いキスが続く。


息が苦しくて、胸が苦しくて…


その瞬間、何も考えられなくなって、私は思わず目を固く瞑った。


目から一筋の涙が溢れ落ちた。


もう、このまま何も考えずに…身を任してしまいたい。

そう思いかけた私の目蓋の裏に…


優しく笑うレンの顔が浮かんだ。


瞬間、私は我に返って目を開く。

ルキくんの胸をドンドンと叩いて抵抗する。

目の前のルキくんの眉が歪んで、やっと唇が解放された。


「はぁ…ごめん、ルキくん。
離してっ!」


肩で息を吐きながら、ルキくんの胸に当てた手で体を押した。


「あっ…」


ルキくんはそんな私の抵抗を受けて、自分の行動に驚いたみたいに目を見開く。

そして私の体に回した腕が外された。


「ごめん、ルキくん…。」


私は下を向いて、眉をしかめた。


「いや…オレこそ突然こんな事して悪かった。」


頭の上から聞こえる声は、本当に申し訳なさそうで…。

顔を上げる事が出来ない。


「だけどオレの気持ちに嘘はない。
オレはリンの事が、好きだ。」


迷いなく告げられた言葉が胸を締め付けた。

私は奥歯を噛み締めて目を固く瞑ると、意をけして声を出す。


「ルキくん、ごめん。」

「リン…?」


ルキくんが怪訝な声を出した。


「私、ルキくんの気持ちには答えられない!!」


空気が針積めた気がしたけど、私は声を上げた。


「苦しいし辛いし泣きたくなるし…どうしたいかなんて解らない」

私は顔を上げると、眉を寄せたまま彼の目を見た。

ルキくんも眉を寄せていた。


「だけど!!私、自分の気持ちに嘘つきたくないよ!!」


彼はより眉のシワを寄せた。


「…解ってるのか!?
どうしたって、報われないんだぞ!?」


少し声を上げたルキくんは、私よりも悲痛な色を帯びていた。


「報われるとか、報われないとか、付き合うとか、恋かとかなんて解らないよ!!」


私もそれに対して声が大きくなる。


「だけど…だけど!!」


だけど言葉が続かない。

だってまだ自分がどうしたいかなんて解らない。

ただ…

キスをするのも、触れるのも、抱き締めて欲しいのも…


レンしかいないの!!


だから…!!


「それを誰かで塗り替えるのは、…そんなのはイヤなんだよ!!」


私の告げる言葉に、ルキくんは目を見開いた。


「それに…ルキくんは私にとって大事な存在だから、こんな気持ちで答えられない。」


彼は私の言葉を聞き終わると、少し考えてため息を吐く。

そして頭にポンッと、撫でるように手を置かれる。


「リンの気持ちはよく解った。」


そう言って、目を細める。


「仕方ないから、まだ幼なじみでいてやるよ。」


言いながら、ぐしゃぐしゃと撫で回す。


「ちょっとルキくん!!」


私の不満げな声を聞くと、意地悪な笑顔を見せてから扉へと足を進めた。


「ルキくん、ありがとう!!」


心配してくれた事、解ってくれた事への私の素直な気持ちに、ルキくんは振り返らずにヒラヒラと手を振った。





.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ