Birthday Event
□squeeze !!
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― squeeze!! ―
up 2009.8.27
「すまん!イーピン!!
やはり帰れそうにない!!」
『そうですか…忙しそうですね。』
オレの謝罪の言葉に、イーピンは電話ごしに残念そうな声を出す。
「せっかくオレの誕生日を祝ってくれようとしたのにな…」
『お仕事じゃ、しょうがないです!
当日にまた電話しますから、気にしないでいいですよ!』
そう言うイーピンの声は明るい。
いや、明るく振る舞っている声だった。
8月26日。
オレの25歳の誕生日。
別に誕生日など気にしないオレだが、ある日からこの日は特別となった。
そう、イーピンと付き合いだしたその時から。
オレの誕生日を祝ってくれる。
生まれた事を喜んでくれる。
いつも以上のイーピンの笑顔が見れる。
本当に特別に、嬉しい日だ。
だが…実の所、誕生日に会えた試しは無かった。
イタリアと日本の極限遠距離は、そう上手くタイミングが合わないものだ。
今回が珍しい訳ではない。
だからと言って、諦めなどつかず。
毎度『会ってお祝いしたいです』と言ってくれるイーピンの言葉が嬉しくて、ギリギリまで粘ってしまうのだった。
今回こそ平気かと思った矢先に、やはり珍しい訳ではない急な仕事が入ったのだ。
しかも、ちょうど誕生日当日までかかるのだ。
電話を切ったオレは、見えはしないイーピンの顔を思い浮かべて、ひとつため息を吐く。
「おい!そろそろ行くぞ!!」
部屋のドアをけたたましく叩かれる。
今日の仕事の同行者の獄寺が呼んでいる。
「おう!今行くぞ!!」
オレは返事をすると、自分の顔を両手で叩き、気を引き締めて扉を開けた。
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