夢小説 DRAGON BALL


初恋テレパシー
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「風船だと・・・・?」




フルートは頷く。
見つめれば見つめるほど不思議な人だと感じながら。

ピッコロはフルートの視線の先を追った。
風船はふわふわと風の流れに乗って飛びあがって行く。




「・・・・ったく」




舌打ち混じりにひとこと。
ここで待ってろとだけ言い残しピッコロは飛び上がった。




「す・・・・すごぉーい! 飛んでる!」




宙を飛ぶピッコロは素早く風船をキャッチすると、 再びフルートの元へと着地。




「ほら」




風船を受け取り、 フルートはピッコロのたくましい腕と鋭い瞳を交互に見つめた。




「あ・・・・、 どうもありがとう!
あたし、 フルート! あなたのお名前は?」

「おまえなんかに名乗るまでもない」

「何言ってるの!? レディーがあなたのお名前を聞いてるのよ?
素直に教えなさい!」




______なんつうクソ生意気なガキだ・・・・!

フルートは臆することもなく、 じっとピッコロを見上げる。




「・・・・ピッコロだ」

「ピッコロ? あなたのお名前、 ピッコロって言うの?」

「ああ」

「素敵なお名前・・・・!」




フルートの瞳は輝いていた。
ついさっきまで泣いていたことなんて嘘のように。
そしてフルートは、 にこにこと笑ってピッコロに抱きついた。
______正確に言えば、 ピッコロの脚にしがみついた。 が、 正しいはず。______




「見つけた! 将来のあたしの王子さま!
あたしの元にやってきてくれたんだね・・・・!」

「な、 おい! 離せ! 離せと言ってるだろ! このガキ!」

「ピッ・ コ・ ロ・ さんっ!」




ピッコロに抱きついたまま、
______もう一度言うけれど、 正確にはピッコロの脚にしがみついたまま。 だ。______
フルートは手招きしてみせた。




「なんなんだよ!? こっちはおまえなんかに付き合ってる暇は・・・・、」




ほんの少し上半身を屈ませたピッコロの耳元で、 フルートはささやく。
うっとりとした瞳で。




「あたしがおとなになったら・・・・、 ピッコロさんのお嫁さんになってあげるね」

「・・・・お嫁・・・・さん・・・・?」




お嫁さん。
聞いたことはある気がするけれど、 その意味をあまり理解していないピッコロ。

フルートは、 うんうんと笑顔で頷く。




「うん! あたしがおとなになったらね、 ピッコロさんと結婚するの!」

「け、 結婚・・・・?」




結婚。
これも聞いたことはある気がするけれど・・・・ナメック星人にとっては馴染みのないものだ。

フルートは、 またもうんうんと笑顔で頷く。




「約束してくれる? おとなになったら、 あたしと結婚してくれるって」

「・・・・・・・・」

「ねえ、 約束してくれるでしょ?」




______うるさいガキだ

そう感じているのに、 まっすぐな視線で見つめられてしまえば邪険に扱うことに気が引けた。




「わかったわかった! わかったから、 さっさと離れろ!」




わあ・・・・と、 フルートは歓喜のため息をこぼす。




「じゃあ、 約束! あたしはもう決めたからね!
おとなになったらあなたのお嫁さんになるって」




フルートはピッコロを見上げたまま背伸びしてマントの裾を引っぱった。
そして、 ピッコロの頬に唇を押しあてた。
唇の柔らかい感触。 ちゅっと小さくたった音を頬に感じ
ピッコロは今にも飛び上がりそうなくらい驚いた。
フルートは嬉しそうに笑い、 風船を後ろ手で持つ。

やがて、 フルートの母親がやってきた。
ピッコロは抱き合う母娘を遠目に見つめていた。
人間とは不思議なものだと。 ときどき理解できないことをしでかす生き物だと思いながら。




「でね、 ピッコロさんって言う人が助けてくれて、
あたしが飛ばしちゃった風船も取ってくれたの!」

「そう・・・・よかった。 フルートが無事だったのもその人のおかげね。
お礼を言わなくちゃ・・・・」

「・・・・あれ・・・・? おかしいな・・・・。 さっきまでここにいたのに・・・・。
いなくなっちゃった・・・・」




その場所に既にピッコロの姿はなかった。
フルートはピッコロが飛んでいったであろう空を見上げた。
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