夢小説 DRAGON BALL


いつかきっと恋の予感
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天津飯につづき、 ヤムチャ、 クリリン、 トランクス、 悟飯も飛び立ち
それぞれの帰るべき場所へと目指して光となって飛んで行く。




「さようならー・・・・!」

「またねー!」




デンデとフルートは、 光となって飛んで行く戦士たちに向かって手をふった。
ミスター・ ポポとピッコロは、 かすかな笑みを浮かべながらそっと彼らを見送っている。




「早いね・・・・。 もう見えなくなっちゃった」




広げていた手をそっと下ろして握りしめた。
ピッコロは黙ったまま頷く。




「ピッコロさん、 お疲れでしょう?
今日はゆっくり休んでください」

「ああ、 そうだな・・・・」




デンデは自分の体よりも大きな杖を手によちよちと歩きながら
ひと足先にミスター・ ポポと並んで神殿のなかへと戻っていった。

その場に残っていたのはピッコロとフルートのふたりだけ。

役目を果たした神龍はとっくにいなくなり、 仲間たちは全員帰った。
沈黙と静けさが一気に押し寄せる。 
何故だかピッコロにはその静寂が少しだけ居心地悪く感じた。

ピッコロは腕を組んだまま吐息まじりに
「さてと・・・・、」




フルートがゆっくりと隣に立つピッコロを見上げた。




「おまえは・・・・、」

「・・・・え?」

「おまえは・・・・帰らなくていいのか?」

「う、うん・・・・。 みんなが無事で安心したし、 わたしもそろそろ帰ろうかな」

「そうか。 では、 オレが送ろう」

「うううん! ピッコロさん、 戦いで疲れたでしょ?
デンデの言う通り、 今日はゆっくり休んで。 ね?」

「なに。 おまえを下界に送り届けるだけだ」

「わっ! わわわわ!」




フルートの体がふわりと宙を浮くように持ち上がる。
ピッコロが軽々とフルートを抱き上げたのだ。




「振り落とされたくなかったら、 しっかりとつかまってろよ」

「・・・・わたし、 重たくない?」




ピッコロは笑う。 ふんと鼻を鳴らして笑った。




「むしろ雲のようだな。 軽すぎる」




フルートも笑った。
笑って、 安心したようにピッコロの腕のなかに納まると
頬をピッコロの胸にすり寄せた。

「行くぞ」 の、 ひとことと共に
フルートを抱きかかえ、 ピッコロはジャンプして飛び立った。

まるでジェット機のようだ。
ピッコロも光を放ち、 猛スピードで飛ぶ。




「ねえ、 ピッコロさん」




風で激しく揺れる髪をかきあげて、 フルートはその横顔をそっとのぞきこむ。




「何だ?」

「・・・・おかえりなさい。
無事に帰ってきてくれてありがとう。
わたし・・・・信じて待っててよかった・・・・」

「・・・・・・・・」




ピッコロは前々からひそかに思っていた。
フルートは、 どこか悟飯に似ているものがあると。
やたらと人懐っこく、 それでいて自分を慕ってくれているところ。
無邪気に笑うところ。

______悟飯そっくりだな・・・・

だからこそピッコロ自身、 フルートには優しくしてしまうし______ピッコロなりに。______
世話を焼きたくなってしまうのだ。______ピッコロなりに。______

しかし、 本当にそれだけだろうか______?

ピッコロは考える。
フルートをこの腕に抱きながら、 
悟飯に対するものとは違う気持ちがあることを不思議に思いながら考えた。

あらゆるものからフルートを守って行きたい。
戦うことは避けられないとしても、 必ずまたフルートの元へと生きて帰りたい。

この気持ちの正体が、 わからない________。




「ピッコロさん? わたしもたまには悟飯くんと遊びにきてもいいでしょ?」




フルートの無邪気な声で、 はっとして我に返る。




「あ、 ああ・・・・。 好きなときにくるといい。 待っている」

「やったぁー! ありがとう!」

「わっ! バカ! 落ちるぞ!」




フルートは両手を上げてバンザイすると、 ピッコロの体に両腕を絡めた。
落ち着きのないフルートが落下しないよう、 両手でそっと包みこむように押さえると
その手から心臓に向かって電流に似たものが走る。

“ある意味”、 ヤムチャの言っていたことは本当なのかもしれない。
ピッコロは本当に恋愛は理解不能なのだろうか______!?

いや。 むしろ、 ピッコロ自身がまだ気づいていないだけなのだ。
既に恋心が芽生えているなんてことに。

ナメック星人であるピッコロと、 地球人であるフルート。

ふたりが恋に落ちるのは、 きっと・・・・・・時間の問題かもしれない。



END

2013/4/3/(c)S,Kumamitsu
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