夢小説 DRAGON BALL


いつかきっと恋の予感
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いつかきっと恋の予感





「れ、 恋愛と言うやつらしいな・・・・わからない・・・・・・」




18号に恋心を抱いて頬を赤らめるクリリンを見ても、 ピッコロには理解不能だった。
理解不能で、 顔をしかめた。

ヤムチャは仲間たちを全員見比べて優越感に浸るように笑う。




「このなかじゃあ一番、 オレが恋愛経験豊富だからな」




ははははとヤムチャの笑い声が響くなか、
ピッコロのしかめた顔は引きつっていた。




「さっぱりわからない・・・・」




地球人(人間)の「男」と「女」。 その地球に住む動物の「雄」と「雌」。
ナメック星人であるピッコロには、 地球人では当たり前にある性別は存在しないのだ。
だからこそ、 「恋愛」や「結婚」と言った価値観も________。




「ピッコロぉー・・・・! おまえには恋愛はちょっと無理なんじゃねえかなあー・・・・」




______勝手にほざいてろ・・・・!

ピッコロはあきれたように鼻を鳴らした。
恋愛なんて今までもこれからも、 するつもりなんて全くない。
むしろ、 不要だと。




「みんな・・・・無事に帰ってきてくれたんだね!」




その声に一同は、 はっとして声のする方向へと視線を辿らせる。




「あーっ! フルートさん!」




先にその声の主を発見したのは悟飯だ。
悟飯は嬉しそうな声を上げてフルートに向かって、 ぶんぶんと大きく手をふり上げた。
フルートも大きく手をふり上げる。
神殿で仲間たちの無事と到着を祈るように待っていたのだ。




「おかえりなさい・・・・! 無事でよかった・・・・本当に・・・・。
本当によかった・・・・!」




フルートは涙ぐんだ瞳で戦士たちを見つめた。
よかったよぉとフルートの声は徐々に掠れはじめ、 
やがてそれは小さな泣き声へと変わってしまうのだった。




「バカ・・・・泣くな」




腕を組んでしかめっ面のままだったピッコロの表情が、 ほんの少しだけやわらぐ。
ピッコロの大きくたくましい、 だけど
あたたかな緑色の手がぽんとフルートの頭に乗せられ、
その手の大きさでフルートの頭は、 すっぽりとピッコロの手に包みこまれてしまった。




「うん・・・・そうだね。 ごめん・・・・」




フルートが、 ごしごしと拳で涙を拭って顔を持ち上げると
普段や戦いのときには絶対に見ることのない、 優しい顔をしたピッコロの視線とぶつかる。




「な、 なあ・・・・ピッコロの奴、 本当に恋愛わからないのかな?
見ろよクリリン、 アイツのフルートを見る目!
ありゃ完全に恋してんじゃないのか?」




見つめ合うピッコロとフルートを見たヤムチャは
クリリンの耳元でささやく。




「ああ。 オレも今そう思った・・・・!」

「・・・・おい! おまえらっ! 何をごちゃごちゃ言ってるんだ!
全部聞こえてるぞ!」




ぐるりとふり返ったピッコロの表情は一変。
聴覚の発達しているピッコロにとっては、 この程度の距離の会話(声)は簡単に聞き取れるのだ。




「え? どうしたの・・・・?」




身長二メートルを軽く超えるピッコロの背中で
すっぽりと隠れていたフルートが顔をのぞかせ、 
ヤムチャとクリリンを交互に見比べてからじっと、 ピッコロを見上げた。




「何でもない。 コイツらがくだらんことを言ってただけだ」




ピッコロはそっぽ向き、
ヤムチャとクリリンは必死に笑いを押し殺している様子。




「変なの」




そんな三人を見てフルートは、 おかしそうに笑った。
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