夢小説 ATTACK ON TITAN


□永遠になる
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罪。 一体、 いくつ重ねただろう______。
内緒のキス。 エミリの気を引こうとした日常の手段。
これでも人は僕を優等生だとか真面目だとか言うのだろうか……。



「______無論、 新兵から憲兵団に入団できるのは、 成績上位10名だけだ。
後日、 配属兵科を問う。
本日はこれにて第104期「訓練兵団」解散式を終える……以上!」

解散式の後は、 質素ながらも賑やかな祝いの食事だった。
(それはもう、 賑やかすぎだ。 ジャンとエレンがまたも取っ組み合い、 ミカサがエレンを担いで行った)

「おめでと。 マルコなら絶対に成績上位10名に入ると思ってたよ。
これで念願の憲兵団だね」

「ありがとう」

そんな賑やかな食堂の外で、 エミリは笑顔でそっと祝福してくれた。
僕は有頂天な喜びを隠すようにした。 ただ、 かっこつけてみただけだ。
並んで腰かけるとエミリはふふふと笑い「私も、 なんとか脱落しないで卒業できた」

「言っただろ? 君ならできるって。 エミリは努力を惜しまないからって」

「覚えてるよ、 マルコがそう言ってくれたときのこと」

「……こうしてみると三年間あっと言う間だったな」

僕がそう言うとエミリは相槌を打ち、 星空を見上げている。
同じように僕も星空を見上げた。
こんなにも近くにいて二人して同じ空を見上げているのに、 僕らはそれぞれ違うものを見つめ、 目指している……。

「私ね、 本当はずっと調査兵団になりたいと思ってたの。
兵士に志願したのもそのためで、 でも、 心のどこかではすごく怖くて……死ぬことが怖くてたまらないの」

エミリは初めてそれを言葉にしてくれたが、 僕はずっと前から気づいていた。

「死ぬことが怖くない奴なんかいないさ。 僕だって死ぬのは怖い」

エミリを見つめる。
その瞳に、 今だけは、 僕だけを映して欲しい。
エミリがずっと、 誰を思い続けて来たのかは知っていても______。
死ぬのは怖いが、 エミリに会えなくなるのも怖い。
報われることのない恋だとは承知の上。
これから先も、 好きとは絶対に伝えないと心に誓おう。
だからお願いだ……。 そばにいさせて欲しい。
僕が憲兵に。 エミリが調査兵になっても、 時々は会うことを約束をした。
これからも良き友人関係として……。

再び壁が破壊された時は、 心の誓いも破ってしまった。

「もし……これが最後の言葉になってしまったとしても、 僕は悔いを残したくない。
エミリが好きだ」

触れたエミリの手、 マスケット銃のひんやりとした感触、 低く呻くような音を立ててゆっくりと下降するリフト、
引き金を引いた瞬間の永遠のような一瞬______それら全てを、 僕は最期まで鮮明に覚えていた。

“ねえ、 マルコ! さっき、 作戦の前に言ってたことなんだけど……”
“ああ、 本当のことだ。 訓練兵になったときからずっと、 おまえが好きだった。 ずっと見つめてたよ”

僕の初恋、 最後の恋。 永遠になった。

END

2016/2/29
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