僕らの恋心
□始まりは青い空
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そよ風が拓真の黒髪をさらさらとなびかせている。
そして太陽の光の優しい暖かさがこの上なく心地良い気分へとさせた。
拓真は静かに紅蓮の瞳を閉じる。目を閉じて聞こえてくるのは…
遠くで体育をしている生徒の声、鳥のさえずり、風で木の葉が揺れる音…
そんな音達はまるで子守歌の様に聞こえ、拓真を眠りの淵へと導いていった。
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夢心地な拓真の耳に何やら遠くから“コツコツコツ…”と誰かの靴の音が聞こえてきた。
【誰か来たのか…】
と一瞬考え瞼を少し開いたが、再び閉じ眠ろうとした……が
「やっぱりここにいたか…」
低すぎないテノールの声が拓真を眠りの世界から現実世界へと連れ戻した。
目を開きその声の主に視線を向けた。
そこにいたのは…
同じクラスであり、拓真の恋人でもある“瀬川輝”だった。